思い込みと焦点。

私は、講座をする時は、必ず参加者の皆さんに自己紹介をしてもらうことにしています。そして、ただ名前や呼んで欲しいニックネームやどこから来たのかと言った簡単なものではなく、一つの質問を投げかけて、それについて答えるという自己紹介をしてもらっています。

で、先日の講座での質問はコレ。

「あなたにとっての蚊とは何ですか?」

たまたま、この日の講座の会場に蚊が飛んでいて、ちょっと鬱陶しいなと思ったからでした。毎回、さまざまな質問を投げていますが、今回は「蚊」をテーマにしました。

いつも最初は、講師の私から例として自己紹介をします。

私にとっての「蚊」とは、「戦い」です。蚊に刺されたら、握り拳を作ってぐっと耐えて掻かない、触らない、痒みが去るまで耐えるという戦いに入ります。この戦いに勝てば、刺された箇所は大きく腫れるけれど、痒みから解放されるのです。だから、蚊に刺された瞬間から数分を戦いの時間に充てるのです。痒みに耐え切った時、「勝った!」と思うのです。

この話をして、次の参加者に自己紹介をお願いしました。

この方は、「蚊」は「先手必勝」だと言いました。目に入った瞬間から、刺される前に蚊を倒すという行動に入ると言うのです。やられる前にやる。そういう姿勢なんだと話してくれました。

そのまた次の参加者は、「蚊」は「気にならないもの」と言いました。

自分で蚊を退治することはなく、いつも誰かがやってくれるもの。だから、私にとって蚊は気にならないものなのだと言う。

さらに次の参加者は、「キンカン」だと言いました。

夏になると、蚊に刺されたらキンカンを塗って対応する。夏が終わる頃には、キンカン1本無くなってしまうと言いました。蚊が近くにきたら、事前にキンカンを塗る、刺されたらすぐにキンカンを塗る。常に鞄の中にキンカンを忍ばせているのだと言いました。

また別の参加者は、「誰よりも先に刺される」と言いました。

真っ先に蚊に刺されるのは、自分だと言うのです。他の人は刺されていないのに、私だけ刺されるのだと。

「蚊」という題材から、その人となりが見えてきます。何を大事にして、何を気にかけているのか。刺される前に注目する人、刺された後の対応に注目する人、他と自分を比べる事に注目する人、日頃の準備に注目する人、注目すら必要の無い人。

聞いて見なければわからない事でした。「蚊」は鬱陶しいもの、そう決めつけていたのですが、鬱陶しいとも思わないという人もいます。鬱陶しいと思うにしても、気にかけるポイントが違うというのは、本当に話を聞いて見なければ分かりませんでした。

自分の思い込みだけで、物事を判断していると、ちょっとずつズレが起きていくのかもしれません。「蚊」というテーマでしたが、このズレに気付かされた出来事でした。

ニュートラルに、自分の思い込みだけで物事を判断せず、聴いてみる事の大切さを改めて考える事ができました。ちゃんと、相手の話を聴いていますか?